2023年02月10日
今回は寒冷地での石垣補強の施工事例をご紹介します!
昨年12月後半から今月2月中旬までの大掛かりな石垣補強工事でした。
お写真は補強前の石垣の状況です。
様々な箇所でひび割れが発生しており、危険度の高い状況でした。
石垣擁壁の判定調査をしたところ、水抜きパイプが設置されていない為、大雨の水圧でひび割れや変状を発生していると考えられました。
その為、補強工法を考える上で水抜きパイプ設置は必須であること、石垣のひび割れと変状をこれ以上悪化させないことが大切になってきます。
先ずは技術スタッフと工法について会議をおこない、排水性の向上と強度改善を重視する補強設計をおこないました。
石垣の上にある天端も縦ズレと呼ばれる症状が3㎝もありました。
3㎝よりも大きく変状している場所も…
そして、いよいよ補強工事の開始が始まりました。
先ずは石垣の状況を確認しながら、電動工具を使用して劣化したモルタルを除去していきます。
この日の最高気温はマイナス2度でした!しかし雪に負けずに作業していきます 😛
劣化したモルタルや異物除去は非常に重要な作業のため、慎重におこなっていきます。
また、同時に接着注入補強材が石垣の奥までしっかりと注入できるように、注入口も削孔していきます。
積雪量や降雨の多い地域では、水抜き排水パイプが大きな役割を果たしてくれる為、石積み擁壁に現行法のサイズの排水パイプが必要になってきます。
水がより多く抜けてくれるように、排水口を奥深く、さらに大きめの削孔工事をおこないます。
工具の先端も60㎝ほど削孔できる器具を使用しました。
しっかりと石垣の奥にある透水層が確認できるまで削孔してから、排水パイプを設置します。
水だけ排水できるように水抜き排水パイプ裏にフィルターを設置します。
フィルターは石垣裏の土砂が水と一緒に外部に排出しない効果があります。
土砂まで流出すると、地盤沈下や擁壁崩壊の発生原因となる可能性があるからです。
削孔した石垣の裏側から湧水が流れてきました。
このくらいまでしっかりと削孔する必要があります。
水抜き対策が完了したあと、次は石垣の強度を強くするために強力な接着注入補強をおこないます。
先ずは、材料を撹拌して練り混ぜていきます。
骨材の細かい接着性の良い細砂の混合することで注入の流動性をよくします。
そしてこの白色された秘伝の接着混和材を配合していきます。
硬化と接着性が非常に早く強いため、気象状況により攪拌混合率を調整していきます。
注入機材の吐出ホース先端側では注入技術スタッフが石垣の内部に接着注入補強をしていきます。
互いにタイミングや状況の声かけをして硬化と注入状況を確認して補強していきます。
接着注入補強の後に左官コテや刷毛引きで仕上げをおこないます。
最後に石垣を高圧洗浄して完了です。
しっかりと力強い石垣に補強できました。
石垣に発生していたひび割れや変状も補強して強固のものとなりました。
これで地震災害や大雨時の崩壊対策も安心です。
施主様にも喜びのお声をいただきました。
仕事冥利に尽きる瞬間ですね 🙂
これからも技術の向上と開発に向けて頑張ります!
より良い安心できる暮らしを提供できるように微力ながらお力になれればと思います。
施主様並びに近隣住民の方々、工事期間中はご協力頂きまして、誠にありがとうございました。
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